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  • 執筆者の写真nikoponsuki

「ペーパームーン」あとがき

更新日:2月5日

2023/12/3に発行した同人誌「ペーパームーン」について、あとがきに代えて書いてみたいと思います。(別名、言い訳とも言う)


〇「ペーパームーン」

 モブの死体がトランクにある状態で一緒に車でどこかに行く刹グラ、というネタは前からぼんやり考えていて、それに他に書きたいネタをどんどん付け足していって何とか形にしました。また、自分なりに原点回帰した解釈の刹グラを描きたいなという思いがあったため、「これが私が考えた最強の刹グラだ!」をできるだけ詰め込んでみたのですが、結果としてちょっとゴチャゴチャしてしまったかなーという反省はあります。

 本編沿いで考えると二人はどうしても「生死」に関わるような繋がりしかないし、グラハムには一方的に生きろと言うのにCBの理念のためには人の命も奪う刹那と、CBの存在を受け入れた訳でないけども刹那個人には強く惹かれているグラハムの「矛盾」を描きたかったのでこういう話になりました。一応、モブおじさんをこんなにサクッと殺していいのかな?とか、人手不足とは言えマイスター本人がこの作業するかな?とか、そもそもこんな手法で死体処理できるのかな?とか、それなりに悩んだのですが、自分の画力とも相談して結果的にあの描写のまま突き進むことにしました。(モブオッジ氏は犠牲となったのだ……)

 このデートも二人の関係も偽りだらけで儚いもので、でも、それでも、もしかしたら、というニュアンスで「It's Only a Paper Moon」を引用してみました。同名映画の内容とは全く関係ないと思ったけどまあロードムービー映画ではあるので関係あるといえばあるのかもしれません・・・と打ち込んだところで、奥付に「作詞:Billy Rose/E.Y.Harburg 作曲:Harold Arlen「It's Only a Paper Moon」より歌詞の一部を引用しました」と書こうとしてすっかり忘れていたことに気が付き、滝のような冷や汗を流しております。ギリギリ入稿は本当にやめよう!!!!!申し訳ありません!!!!!ちなみにグラハムより刹那の方が歌は上手いと思っているのですが、声優準拠で考えると刹那が武道館を埋めるレベルの美声になってしまうのでそこはあまり深く考えない方がいいのかもしれません…笑

 あとはもともとの記念撮影の文化としてもささやかな庶民の思い出的なものだったようなので、そういう飾らなくて少し郷愁を感じる方が刹グラらしいかなと。でも夜空を照らす「月」と「灯台」をもっと上手く要素として使えたらよかったな。ちなみに、ロケーションは大体のプロットを考えてからグーグルマップでアメリカの海岸沿いを色々見つつ、自分の画力とクリスタの3Dモデルと相談しながら決めました(笑)そもそも300年後の自動車がクリスタの3Dモデルと同型な訳がないのですが……全部左ハンドルに描き直しただけ頑張ったということで。最後に写真を刹那が消去したかどうかはご想像にお任せします。


〇「ブルームーン」

 前半のとにかくラブコメを描くぞ!というネタと、後半の(というか見開きページの)しっとりしたネタを合体させて、更に1冊の本としてまとまりが出るように「月」というキーワードを追加して考えてみました。結果的に、前半と後半の落差がついて結構いい感じになったのではないかなと自画自賛してみます。カクテルとその意味も後付けで調べた割にそれなり上手くラストシーンと嚙み合わせられたのではないかと…。ちなみに、「ペーパームーン」は三日月、「ブルームーン」は満月がモチーフです。

 フィクションとは違って現実では結構その場の流れとかで他人を好きになることが多いよ、という言説に対しては、まあそうだよな~でもフィクションだと明確に好きになるきっかけの出来事があっても良いよねぐらいに私は思っていて。それで言うとグラハムは一世一代の劇的な超大恋愛!ぐらいのテンションだと思うのですが、刹那の方は何となく気も合うしずっと一緒にいるうちに気が付いたら……的なのでも良いのかなあと。端的に言うとまあ100年ぐらいしたらグラハムにもワンチャンあると良いよね!という気持ちです。

 なのでこの話は刹那が地球に帰ってきてから更に何十年か経っていて、刹那の近しい人はティエリアとグラハムぐらいしか残っていないという時代を想定しています。刹那にとってグラハムより大切な人はたくさんいるし、そもそも刹那は人類愛のひとだしな~と思っているのですが、最後まで残っていたら粘り勝ちの可能性もあるかなって……。でもこの話の段階では、グラハムの恋愛的な意味での告白はやんわり刹那にかわされているので、最後までそういう関係にはならないかも、なるかも、みたいなところはご想像にお任せします。個人的には、ティエリア好きなので描くの難しかったけど出せてよかったです。2期の他人の色恋にも世話焼きなティリアエをみるにグラハムの恋路も応援してくれるかなって(笑)

 補足ですが、刹那が冒頭でグラハムから受け取った本はサン=テグジュペリの『人間の土地』と『星の王子さま』です。飛行(飛行機)文学であるサン=テグジュペリの小説をグラハムの同人誌で出したいなとは前から思っていたのですが、今回はあくまでワンポイントというかぶっちゃけそんなに本文の内容とは関係なくなってしまいましたが、機上から地上を見下ろす/地上から空を見上げるという視点から着想してみたつもりです。

 あのともしびの一つ一つは、見渡す限りの一面の闇の大海原の中にも、なお人間の心という奇跡が存在することを示していた。あの一軒では、読書したり、思索したり、打明け話をしたり、この一軒では、空間の計測を試みたり、アンドロメダの星雲に関する計算に没頭したりしているかもしれなかった。また、かしこの家で、人は愛しているかもしれなかった。
サン=テグジュペリ,堀口大學(訳),『人間の土地』,新潮文庫,2012年(改版),7頁

 肉体関係ありの漫画含めてずっと刹グラばっかり描いてきたのでCP表記を変えるつもりは今後もないのですが、今回の本は性的な描写無しなので、グラ刹として読んでも刹+グラ(刹←グラ)として読んでもいいし、恋愛的な関係として読んでもいいしそうでない関係として読んでもらってもいいよという気持ちではあります。


〇全体的な反省

 とにもかくにもスケジュールが後半グダグダ過ぎたのが一番の反省点ですね……。ただでさえ筆が遅いのに未経験の業務内容かつ残業が多い部署に異動になってしまい、本当にもう二度と完成しないかと思いました。とりあえず数年ぶりに1冊出せたことは自信になったので、この反省を活かしてもうすこし気持ち的に余裕を持って作業したいです。作画は自分なりには頑張れたのですが、印刷するとおもてたんと違う~な箇所(背景の汚しなど細い線、グラデトーンなど)が大小さまざまあったので次の本はそれも活かしたいですね。あとはページ数を抑えようとした結果ちょっと詰め込み過ぎになっているような気がするのでそこも気を付けたいかも。


〇出張編集部

 12/3当日に暇すぎて思い付きで出張編集部に行ったのですが、一言で言うと「攻めがデレなすぎ」とのことでした(笑)攻めがクールキャラなのは分かるけどもう少し反応を描いた方がいいのでは?同人誌は(原作では見せないかもしれないけどこのキャラとこのキャラのこういう反応が見たい!)っていう熱意で描くものだと思うからもっと欲望に忠実に!!的なアドバイスをいただいてしまいました。あと内心と言動がズレてる(ツンデレ的な?)とかの描写でもいいかも!とか。


う、う~~~~~~~~~~ん…………一般的な同人誌の観点からみて言ってることは完全に正しいんだろうけど、けど……あえて言おう!うちの刹那は塩味強めであると!!!!!あと内心と言動が一致してないがちなのはどっちかというとグラハムの方だしなあ。個人的にはツンデレでもクーデレでもなく(まあまんざらでもない、かも)ぐらいの微デレがいいんですが、それってCP同人誌として成立してるんですか!?と言われると困る。今回の本について言えば、イノベイターの能力でグラハムの悪意の無さを感じ取っているのもあり冷たく突き放しきれない…という想定で描いていますがそこはもっとネームに落とし込めればよかったな。


 その他のアドバイスは、前半の漫画は(同人誌だから問題ないけど)原作を知らないと分からないしちょっと内容詰め込み過ぎかも。後半の漫画は受けの反応がしっかり描けていて分かりやすい。絵は気にするほど下手じゃないし仕上げの処理もメリハリついてる(←絵が下手なのがコンプレックスでと相談したことへの回答)という感じでした。

 とはいえ、私は思いつきで突撃したので1社しかまわれなかったのですが、たぶん人によってかなり言うことが違いそうだなと感じたので真面目にアドバイスを聞きたい人は3社ぐらいまわった方がいいんじゃないかなと思います。長編描いたらリベンジしてみようかな。




おわり





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